分子の運動

最初に前回の訂正ですが、「さて、5回目のコラムでも出てきたアボガドロ数は気圧に比例します。」

アボガドロ数は定義ですので、変わりません。気圧が変わると、一定容積に含まれるモル数が比例します。(理想気体・温度一定)
ということで、今回は訂正とその続きです。「気圧が変化するとどうして気圧の低い方へ分子が流れるのかな」という話を進めます。

ガス分子はだいたい 10 nm くらいの間隔で分子が並んでいるというのを第5回目にしました。
ただし、ガス分子は静かに止まっているのではなくて、非常に速い速度で運動しています。
速さは分子の重さや温度で変わるのと、ほとんど静止しているような分子から、非常に早く動いている分子まで、分布を持っています。分布の関係で平均も難しくて、根二乗平均速度とか平均速度とか、いくつかあります。ここでは全部省いてしまいますが、大雑把に窒素や酸素の分子だと数百m/sくらいの速度で動いている分子が多いです。飛ぶ方向は、基本的にはランダムです。が、重力の影響を受けているので僅かに下向きの分布が大きくなっています。いろいろな方向に飛んでいるので、分子同士も確率的に衝突しますし、壁なんかにも諸突しています。

圧力は分子がどれだけ諸突して力を加えたか、と考えられますね。
衝突した分子は、向きを変えて飛び続けるものや、壁なんかには張り付いてしまう場合もあります。
早くなったり、遅くなったりもしますね。
この時分子同士の衝突の確立は、速度が速いと小さくなり、また分子の数、密度が小さければ、小さくなります。
圧力が低い側、つまり分子の数・密度が小さい方へ動いた分子は衝突の確立が小さくなる、つまりそのまま飛び続けやすくなります。圧力の高い方へ動く分子は逆に衝突して向きを変え、戻ってきたりもします。

ちょっとずつ分子の動く大きさが異なるので、大きく見るとひとつの流れになるのですね。
人工的に真空をつくるポンプもガスを一方向に流すことで圧力差を作り出しているのです。

目に見えないけれど、分子・原子からできている、そのちょっとの動きが大きな力になっている、ということを覚えてくださいね。

「意見には個人差があります。」次回に続きます。

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最高技術責任者CTO
中野 禅(ぜんちゃん)

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