長さはどう決まる?~メートルの話

「前回、宇宙の大きさの話が出たけど、モノの大きさってどう決まっているの?」
「普通1mとか10㎞とか、身近な大きさだと10㎝とかって言うね。」
「最近メートルの定義が変わったって聞いたけど、大きさ変わったの?」
「良く知っているね、メートルだけでなく、質量(kg)や電流(A)、温度(K;ケルビン}なんかも買ったんだよ。温度のケルビンは普段は使わないね」

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2019年に長さメートルを含むすべての基本単位の定義がSI(国際単位系、フランス語で Système International d’unités、英語だと International System of Units の略称)改訂されたそうです。
「真空中の光の速さcを単位m/sで表したときに、その数値を299792458と定めることによって定義される。」
つまり、真空中の光が1秒で進む距離が299792458m、約300Mmですよ、という決め方になったということですね。

博物館に行くと昔のメートル原器のレプリカとかを見ることができます。
1960年ころまでは、各国で基準の長さの棒を持ち合って同じ基準にしましょう、
というメートル条約が1875年に17カ国で締結されて使われてきたのですね。
日本だと、1尺2寸、とか、ゴルフをする人だと70ヤード、海外製品だとインチ・フィートの表記がまだ使われていたりしますが、決まりが統一されていないと混乱したり、計算したり大変なので、統一しましょう、となりました。
古い単位の多くは人の体の大きさを基準に作っていたので、正確性に欠けるのが問題ですね。

メートル(m)の一番最初の定義は、地球の大きさです。赤道から北極までの子午線長を10000kmにしましょう。というところから決まった定義です。今の地球の子午線長はちょっと長くて10001.966km、最初の測定当時の計測誤差ですね。でも2/10000×100=0.02%ですから、実は立派な値でした。
地球一周が4万㎞、というのが、メートルの基準。体だと体格の差が出てしまうけれど、皆が住んでいる地球の大きさを基準にしましょう、というところで決まった値です。
ではどうして定義が変わったのか、メートル原器の精度は10^-7程度でした。
この精度をもっと高くするために変更されました。

ただ、ここまで細かくなってくると、精度という概念がむつかしく、「不確かさ」が10^-13とか10^-14とかですよ、という表現になっています。精度という言葉が逆にあいまいになってしまっている面白いところです。
次回小さな大きさの話へ続きます。SI定義の改定については参考文献を紹介しておきます。正しくは文献を確認してください。

意見には個人差があります。

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最高技術責任者CTO
中野 禅(ぜんちゃん)

参考文献:国際単位系(SI)基本単位の定義改定と計量標準 https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/

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