案外大きい、原子の大きさ

「光がすごく短い時間で進む距離をメートルにしたのはわかったけど、昔のメートル原器のほうがわかりやすくない?」
「固体の限界ってことなんだけどね。なにかのモノをどんどん小さくしていったらどこまで小さいものが残るかわかる?」
「どんどん小さくできるのではない?」
「残念でした。モノを形作るのには原子や分子が必要なので、原子1個より小さくすると本質がなくなってしまうんだ」
「原子1個って、どれくらいの大きさなの?」
「大きさとしてはだいたい0.2nmとか,10^-10のオーダーだよ。補助単位でオングストローム(Å)というのも使うよ」

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精度や不確かさを決めているのが、どこまで小さくできるか、どこまで分解できるか、という概念です。
メートル原器の精度が10^-7くらいだったのは、加工の精度の限界、温度による影響、保存による変化などの問題があるのですが、頑張って精度向上を進めても最後は原子1個が有るか、無いか、に行き着きます。
原子は、半分に分けることができない、基本の粒です。原子の積み木でモノは出来上がっているのですね。

頑張っても0.1nmオーダーより細かい精度でモノを構成できないのです。
0.2nmとすると、確かに目で見える大きさではないですが、結構大きいです。
1mの10^-7の精度、0.1μmだと、原子500個くらいしかないことになります。
1㎜で5000000個、5百万個ですね。1㎝で、5千万個。案外少ないと思いませんか?
1cc、1立方センチメートル、だと、5千万個の3乗でだいたい10^23個ということになります。

覚えていますか?アボガドロ数。6.02×10^23 個/1molですね。
ダイヤモンドは密度が3.51g/cm^3、ダイヤモンドを作っている炭素は質量数12です。
1立方センチに0.29molの炭素が入っていますので、ダイヤモンドの原子の大きさ、原子の間隔は0.2nmよりちょっと小さいことがわかります。ダイヤモンドの結合長は1.54Åなので、およそ当たっていますね。

工業分野で小さな大きさで仕事をしているのが半導体業界ですね。

PC用のCPUやメモリーは最先端では7nmとか14nmとか、10nm前後の大きさでの仕事になってきました。
これ電子が流れる配線の大きさに関した数値ですので、実に原子が数十個の話です。
仮に50個幅だとすると、1個の原子が欠落すると2%の誤差になってしまいます。
原子をきちんと並べて、欠陥が無いように作っているのですが、なかなか大変ですね。

このように、小さくなると、連続体というより一個一個の原子や分子等の数が数えられる、数を考えないと仕事ができなくなります。量子の世界になっていくのです。
あるか無いか、デジタルの世界、数えられる量子の世界別の世界ではなくて、繋がった世界が、それぞれの世界になって、区別が必要かどうかが分かれ目なのですね。

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ダイヤモンドの結晶構造は、、、とか、半導体の線幅は、、、とか言いたいことがあるかもしれません。

とりあえず細かいことは置いておいて「意見には個人差があります」ということで。

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最高技術責任者CTO
中野 禅(ぜんちゃん)

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